2023年夏ダイヤのLCC路線網は?~日系LCC各社路線を地図にまとめてみた

航空
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本ブログでは以前、コロナ禍によるLCC路線網の変化について記事を書き、2022年夏ダイヤまでの状況をまとめました。

2022年の冬ダイヤ期間においては、日本またアジア各国において外国人観光客の入国制限が緩和され、観光旅行が急速に回復してきました。この流れに追随するかのように、日本のLCC各社でも国際線の再開発表が相次ぎました。さらに、是非があるものの、中国においても「ゼロコロナ政策」が転換され、2022年夏ダイヤまでとは明らかに異なるスピードで、国内外航空各社の増便、路線再開が進みました。

今回は、これまで同様に2023年夏ダイヤでの路線変化を反映させ、「2023年夏ダイヤでのLCC路線図」を作り、またLCC各社の運航再開・運休などの変更点についてまとめてみました。

これまでの記事

はじめに、これまでの記事リンクを残します。2022年冬ダイヤまでのLCC路線網の変化を知りたい方は、こちらをご覧ください。

■上:2022年夏ダイヤまでの変化
 ・コロナ禍初期の路線網の影響
■下:2022年冬ダイヤでの変化
 ・国際線が再開しはじめる

LCC就航路線図(2023年夏ダイヤ)

さっそく完成した地図を下に載せます。この地図では日本国籍の航空会社のみを載せており、同じブランドであっても、他国籍航空会社運航の路線は除外しています。例えば、オーストラリアのジェットスター航空や中国春秋航空運航の路線は、この地図には載っていません。

図:LCC運航路線図(2023年夏ダイヤ現在)
2023年4月21日更新
※ZIPAIRの成田-マニラ線が未反映です

2023年夏ダイヤでの変化

では、LCC各社のダイヤの変化について、表にまとめました。尚、増減便については原則触れません。

会社種別内際路線運休・
再開日
備考
Peach再開国内東京-成田女満別2023/3/26
Peach運休国内東京-成田釧路2023/3/26
Peach運休国内東京-成田長崎2023/3/26
Jetstar再開国内東京-成田下地島2023/3/262022年冬ダイヤのみ期間運休
Jetstar再開国際名古屋-中部マニラ2023/3/26名古屋-中部発国内LCCによる国際線再開初便
深夜便のためマニラ発は3/27就航
SPRING
JAPAN
運休
?
国際東京-成田南京2023/3/263/26現在夏スケジュールの発表無し
再開される可能性もあり
SPRING
JAPAN
運休
?
国際東京-成田寧波2023/3/263/26現在夏スケジュールの発表無し
再開される可能性もあり
SPRING
JAPAN
運休国内東京-成田佐賀2023/7/1最終運航日は6/24
Peach新規
就航
国際名古屋-中部台北-桃園2023/3/27深夜便のため台北発は3/28就航
Peach再開国際大阪-関西上海-浦東2023/5/11深夜便のため上海発は5/12就航
Peach再開国際東京-羽田上海-浦東2023/5/12
Peach再開国際大阪-関西高雄2023/8/1
ZIPAIR新規
就航
国際東京-成田サンフランシスコ2023/6/2
ZIPAIR新規
就航
国際東京-成田マニラ2023/7/1
表:2023年夏ダイヤでの新規就航・運休路線
2023年5月2日更新

Peach

Peachでは、1月17日のANAプレスリリースにて、2023年夏ダイヤでの運航計画を発表しました。

ANAプレスリリース

国内線では3路線が運休します。
・東京-成田~女満別線
・東京-成田~釧路線
・東京-成田~長崎線
また減便や期間運航する路線も多く、全体的な国内線便数は減少します。

北海道道東の2路線はコロナ禍に入ってから新規就航した路線です。コロナ禍による国際線の運休により機材や乗員には余裕が出来ていたこともあり就航が叶った路線です。22年冬ダイヤからの国際線再開の流れを鑑みれば、国際線再開のために国内線を減便、運休していくということが今後も続きそうです。

国際線では新規再開の発表はありませんでした。ですが前述の通り、国内線の減便や運休によって余裕が出るため、近々に新たな増便や再開の発表が期待できそうです。

■2023年2月2日追記
2022年2月1日、Peachは3月27日より名古屋-中部~台北-桃園線の新規就航ならびに8月1日より大阪-関西~高雄線の再開を発表しました。
中部~台北線はコロナ禍後初となる中部国際空港発の日本の航空会社による国際線LCC路線(追記:後述のジェットスター再開により2番目となりました)、またPeachによるコロナ禍後の国際線新規就航2路線目となります。
関西~高雄線の就航は、特殊な状況である中国の上海-浦東線を除き、これを以て関西発のPeach国際線が全て再開されたこととなります。今後は既存国際路線の増便台湾と日本の各地方を結ぶ路線の再開がどの位のペースで進むかが注目されます。

Peachプレスリリース

■2023年4月3日追記
2022年4月3日、Peachは5月11日より大阪-関西~上海-浦東線、5月12日より東京-羽田~上海-浦東線の再開を発表しました。
この2路線の再開によって、大阪-関西ならびに東京-羽田空港を発着し、新型コロナウイルスで運休となっている路線がすべて再開されることとなります。
今後は、地方空港発着路線の再開に進むのか、あるいは再開した路線の便数を戻すことを優先するのか、はたまた新規路線に打って出るのか…。Peachの路線戦略に注目です。

Peachプレスリリース

ジェットスター・ジャパン

ジェットスター・ジャパンでは、1月20日のプレスリリースにて、2023年夏ダイヤでの運航計画を発表しました。

Jetstar Japanプレスリリース

国内線では、2022年冬ダイヤにて季節運休していた東京-成田~下地島線が運航再開されます。これは、2022年冬ダイヤ時にも「23年夏ダイヤでの再開」が明言されていたため、予定通り再開されるということになります。

(2023年2月23日更新)
国際線では、2023年2月22日のプレスリリースにて、2023年3月26日より名古屋-中部~マニラ線の再開を発表しました。この路線は、コロナ禍後初となる中部国際空港発の日本の航空会社による国際線LCC路線となります。
この路線、またすでに再開している成田~マニラ線も深夜早朝時間帯での運航です、この先も深夜早朝時間帯の機材活用が進み、新たな増便や再開が発表されることを期待します。

Jetstar Japanプレスリリース

SPRING JAPAN

(2023年3月26日更新)
SPRING JAPANでは、2023年1月27日のプレスリリースにて、2023年夏ダイヤ前半(6月末まで)の国内線運航計画を発表しました。また国際線は2023年2月22日のプレスリリースにて、2023年夏ダイヤの哈爾浜、天津線販売開始が発表されました。

SPRING JAPANプレスリリース(国内線) SPRING JAPANプレスリリース(国際線)

国内線で注目される点は東京-成田~佐賀線の存廃でした。結果としては、夏ダイヤでも運航されることとなりました。2022年冬ダイヤでは週1便運航と、虫の息状態です。2023年夏ダイヤでも同様です。佐賀空港には親会社JAL路線も無く、運休等の発表の可能性が充分に考えられました。今後は、春秋航空の佐賀~上海-浦東路線が再開するまで、路線運航免許維持路線として最低限の運航を続けるのかもしれません。

(2023年4月21日更新)
上記のように記していましたが、2023年4月21日、SPRING JAPANは、2023年7月1日より東京-成田~佐賀線の運休することを発表しました。ついにその時が来たという印象です。JALグループとして佐賀を維持することも経営面で良しとしないということでしょう。

SPRING JAPANプレスリリース(国内線7月~)

国際線で注目される点は、東京-成田~南京・寧波の2路線が、夏スケジュール開始の3月26日現在においても何ら発表がされていないことです。そのため、この記事においては運休扱いにしています。
中国路線の動向は、「中国国内でのコロナ感染爆発」と「日本政府の対中国コロナ防疫対応」により大きく変わるものと思われます。実際、中国政府の規制緩和により、日本内外の航空各社が中国路線を大増便しています。その中において、SPRING JAPANのみ増便をせず、かつ夏スケジュールの発表すら出来ない事態は異常です。中国政府あるいは江蘇省(南京のある省)や浙江省(寧波のある省)の政府から止められているのでしょうか? または単にSPRING JAPANの運航準備が間に合わなかったのでしょうか?

今後、遅れて夏スケジュール運航が始まるのか、はたまたこのまま2路線がフェードアウトするのか、今後も注視していきます。

ZIPAIR

(2023年2月23日追記)
ZIPAIRについては2023年2月21日、2023年夏季までに東京-成田~マニラ線、東京-成田~サンフランシスコ線の新規就航が報道されました(2023年2月21日:Aviation Wire)。会社からの正式なリリースが待たれます。
他路線が先行していることを踏まえると、行政手続き難航が原因が就航できずにいる東京-成田~台北-桃園線(2021年9月7日:Aviation Wire)の就航はしばらくは難しいのかもしれません。

(2023年4月21日追記)
ZIPAIR東京-成田~サンフランシスコ線の新規就航日が2023年6月2日と発表されました。尚、マニラ線については未発表です。

ZIPAIRプレスリリース(SFO)

(2023年5月2日追記)
ZIPAIR東京-成田~マニラ線の新規就航日が2023年7月1日と発表されました。

ZIPAIRプレスリリース(MNL)

まとめ

国際線への需要が急速に拡大する2023年夏ダイヤにおいては、国内線では減便や運休、その分国際線は増便や再開という流れが一層進むものと考えられます。特に、Peachの東京-成田発着の国内線はこの影響を最も受け、今後も規模縮小が進行することが考えられます。

今後最も不確実な状況といえば、中国路線です。最も影響を受けるのがSPRING JAPANであり、SPRING JAPANの2023年夏ダイヤは、これまで通りに安定しないことになるでしょう。実際に前述の通り、南京・寧波の2路線が販売開始されぬまま夏スケジュールがスタートしました。今後も波乱があるのかもしれません。

既存LCC4社の他に、2023年夏ダイヤではトキエアの新規就航も控えています。別記事にて指摘してきました通り、2023年夏での就航が予定通り進むことは難しいと思われますが、順調に就航準備が進み、2023年夏ダイヤ中に就航できることを期待します。

この先も、各社からの発表に合わせて、本記事もアップデートして参ります。お読みいただきありがとうございました。

更新履歴

2023年1月22日:SPRING JAPAN国内線運航計画発表分を記事に反映
2023年2月2日:Peachの国際線新規就航・再開を記事に反映(リンク
2023年2月23日:ジェットスターの国際線再開を記事に反映(リンク
2023年2月23日:SPRING JAPAN国際線一部販売開始を記事に反映(リンク
2023年2月23日:ZIPAIRの国際線新規就航報道を記事に反映(リンク
2023年3月26日:SPRING JAPAN南京・寧波各路線について記事に反映
2023年4月3日:Peachの国際線再開を記事に反映(リンク
2023年4月21日:SPRING JAPAN佐賀線運休を記事に反映(リンク
2023年5月2日:ZIPAIRのマニラ線新規就航を記事に反映(リンク

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