2022年8月現在のLCC路線網は?~日系LCC各社路線を地図にまとめてみた

航空
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3年ぶりの行動制限無しの盆を迎え、国内での移動は活発さを増しています。航空会社においても、国内線ではコロナ前の8割近い数値まで客数は戻っており、ほぼほぼかつての賑わいが戻ったと言えるでしょう。
新型コロナウイルスは航空業界に未曽有の損害を与え、日本においても名古屋・中部国際空港を拠点としていた格安航空会社(LCC)のエアアジア・ジャパンが倒産しています。ですが、他の航空会社は現在でも存続しており、さらにはジップエアが国際線で路線数を増やしています。

そうした中で生じた疑問があります。このコロナ禍3年間で、航空会社のネットワークはどれだけ変化したのだろう? 特に企業体力の弱いLCCはどうなっているのだろう? ということで、現在のLCCネットワークを地図にまとめてみました。

LCC就航路線図

さっそく完成した地図を下に載せます。この地図では日本国籍の航空会社のみを載せており、同じブランドであっても、他国籍航空会社運航の路線は除外しています。例えば、オーストラリアのジェットスター航空や中国春秋航空運航の路線が該当します。

図:LCC運航路線図(2022年夏ダイヤ現在)
※2022年8月23日修正差し替え→新規路線再開発表の反映

尚、この地図にはエアアジア・ジャパンの運航路線は一切記載しませんでした。
・各路線の運航期間が短いこと
・ほぼ全ての路線で他航空会社が運航していること
・外した方が見やすいと判断したこと
以上のような理由からです。
地図には載せませんでしたが、以下に運航した路線を記載しておこうと思います。

会社種別路線就航日最終運航日備考
初代国内東京-成田札幌-新千歳2012年8月1日2013年10月26日
初代国内東京-成田福岡2012年8月1日2013年10月26日
初代国内東京-成田沖縄-那覇2012年8月3日2013年9月30日
初代国際東京-成田ソウル-仁川2012年10月28日2013年10月26日
初代国際東京-成田釜山2012年11月28日2013年10月26日
初代国内名古屋-中部福岡2013年3月31日2013年8月31日
初代国内名古屋-中部札幌-新千歳2013年4月26日2013年8月31日
初代国際名古屋-中部ソウル-仁川2013年4月26日2013年8月31日
初代国際東京-成田台北-桃園2013年7月3日2013年10月26日
2代国内名古屋-中部札幌-新千歳2017年10月29日2020年9月22日COVID-19による
運休期間あり
2代国際名古屋-中部台北-桃園2019年2月1日2020年3月19日
2代国内名古屋-中部仙台2019年8月8日2020年8月31日COVID-19による
運休期間あり
2代国内名古屋-中部福岡2020年8月1日2020年8月31日
表:エアアジア・ジャパン(初代・2代)運航路線

コロナ禍の国内線

まずは現在復調基調の国内線を見ます。
コロナ禍以後の運航路線変遷を以下の表にまとめました。尚、大多数の路線では緊急事態宣言発令を理由とする一時運休が行われました。しかし、路線数・運休期間が多数かつ複雑であるため、それらは掲載しておりません。

国内線においては各社の対応方法が明確です。
Peach:費用は先行投資、アフターコロナを見据えて早めの路線拡大
ジェットスター・ジャパン:不採算路線中心に路線規模を縮小、費用圧縮してコロナ後まで乗り切る
  ⇨関西の客室乗務員拠点閉鎖など実施
SPRING JAPAN:運航便数を極限まで縮小、費用圧縮してコロナ後まで乗り切る
  ⇨週1便運航にまで縮小など大規模減便を長期実施

積極策のPeach、防衛策のジェットスター・ジャパンSPRING JAPAN、どちらが正しいということはありません。現実に今現在、3社がすべて存続していることから、どちらでも間違いではないのでしょう。しかしながら、2022年現在の運航規模の現実を見るに、3年分の累積損失で倒産しなければですが、Peachが今後も優位な立ち位置にあることは間違いないでしょう。

種別会社路線就航日最終運航日備考
運休 
→撤退
Jetstar大阪-関西高知2020/5/10
就航Peach東京-成田釧路2020/8/1
就航Peach東京-成田宮崎2020/8/1
運休 
→撤退
Jetstar大阪-関西福岡2020/9/30
運休 
→撤退
Jetstar名古屋-中部鹿児島2020/9/30
運休 
→撤退
Jetstar東京-成田庄内2020/10/24
運休 
→撤退
Jetstar大阪-関西熊本2020/10/24
運休 
→撤退
Jetstar名古屋-中部札幌-新千歳2020/10/24
就航Peach札幌-新千歳沖縄-那覇2020/10/25
就航Peach仙台沖縄-那覇2020/10/25
就航Peach名古屋-中部札幌-新千歳2020/12/25Peachの名古屋初就航
就航Peach名古屋-中部仙台2020/12/25
運休 
→撤退
Jetstar大阪-関西下地島2021/1/3
就航Peach名古屋-中部沖縄-那覇2021/1/22
就航Peach名古屋-中部石垣2021/1/22
就航Peach東京-成田女満別2021/2/10LCCの女満別初就航
就航Peach東京-成田大分2021/2/19Peachの大分初就航
就航Peach大阪-関西女満別2021/7/1
臨時路線SPRING
JAPAN
東京-成田仙台2022/4/12022/4/102022年福島沖地震
による臨時路線
表:コロナ禍(2020年4月)以降の新規就航・撤退路線(国内線)
※エアアジア・ジャパン運航路線は除く
※Jetstar→ジェットスター・ジャパン

コロナ禍の国際線

続いて未だ傷の深い国際線を見ます。
国際線では今もほぼ全ての路線が運休していることから、コロナ禍以後に運航を継続・再開した路線のみ表にまとめました。

国際線については、各社の戦略ではなく外的要因が路線運航に影響しています。
SPRING JAPAN:中国民用航空局の防疫対策により許可された範囲でのみ運航
 ⇨需要あるも運航再開・拡大が叶わず
 ⇨JALANA以外で唯一国際線運航を継続
ジップエア:貨物需要を担い、コロナ禍でも新規就航・増便を続ける
Peach:まもなく国際線を再開
 ⇨アジア圏諸国は世界でも最も厳しい防疫体制であることが影響
 ⇨国内線増便で機材余力に余裕なし
 ⇨深夜便等での再開、機材活用が続くか?
ジェットスター・ジャパン:未だ全便運休
 ⇨国際線でもPeachより慎重な経営判断

会社種別路線就航・再開日備考
SPRING JAPAN継続東京-成田哈爾浜運休なしLCC唯一の運航継続路線
SPRING JAPAN再開東京-成田天津2020/10/51便/隔週
ジップエア新規東京-成田ソウル-仁川2020/10/16貨物便は2020/9/12就航
ジップエア新規東京-成田バンコク2020/10/28貨物便は2020/6/3就航
ジップエア新規東京-成田ホノルル2020/12/19
SPRING JAPAN新規東京-成田南京2021/1/221便/隔週
ジップエア新規東京-成田シンガポール2021/9/7
ジップエア新規東京-成田ロサンゼルス2021/12/25
Peach再開大阪-関西ソウル-仁川2022/8/28Peach国際線初
Peach再開大阪-関西台北-桃園2022/9/16
Peach再開東京-成田台北-桃園2022/9/22
Peach再開東京-羽田ソウル-仁川2022/10/30※1
ジップエア新規東京-成田サンノゼ2022/12(予定)就航日未確定
表:コロナ禍(2020年4月)以降の新規就航・運航再開路線(国際線)

2022年8月23日修正→Peach再開路線、発表分また漏れ分を反映
※1 2022年8月22日:日本経済新聞(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC221AZ0S2A820C2000000/

まとめ~なんとか各社とも生き残ってほしい

ここまでまとめたように、国内線と国際線では情勢は大きく異なりますが、各社とも生き残るための必死な経営を続けています。その効果か、国内線においてはコロナ禍前以上の規模となる会社も出ています。一方、国際線は壊滅的状況が続いており、先は見通せません。
LCCは運航効率の最大化によって利益を生みます。その点において、感染状況により減便が発生し、運航能力を持て余す現状は、やはりLCCにとって大手航空会社以上に厳しいと言わざるを得ません。その中で各社とも生き残り続けているということは、相当の努力あってのものと感じます。
何とか感染状況が落ち着き、国際線を含めて、コロナ禍前のようにLCCが元気に飛び回る未来を見ることを願わずにはいられません。

お読みいただき、ありがとうございました!

※修正
2022年8月23日:以下を修正・反映
・Peach 大阪-関西~台北-桃園線再開日誤りを修正
・Peach 大阪-関西~ソウル-仁川線反映漏れを修正
・Peach 東京-成田~台北-桃園線反映漏れを修正
・Peach 東京-羽田~ソウル-仁川線再開報道を反映