2023年冬ダイヤのLCC路線網は?~日系LCC各社路線を地図にまとめてみた

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本ブログでは以前、コロナ禍によるLCC路線網の変化について記事を書き、2023年夏ダイヤまでの状況をまとめました。

2023年の夏ダイヤ期間においては、日本を含めた全世界的に入国制限が撤廃され、急速にコロナ前に戻りつつあります。これに伴い、日本のLCC各社でも国際線の再開発表が続きました。しかし、その引き換えとして国内線は減便や運休が目立ち、また復調が期待された中国路線は未だ足踏みといった状況です。さらには、福島第一原子力発電所の処理水放出問題により、中国からの訪日旅行客は減少する可能性すらあります。

今回は、これまで同様に2023年冬ダイヤでの路線変化を反映させ、「2023年冬ダイヤでのLCC路線図」を作り、またLCC各社の運航再開・運休などの変更点についてまとめてみました。

これまでの記事

はじめに、これまでの記事リンクを残します。2023年夏ダイヤまでのLCC路線網の変化を知りたい方は、こちらをご覧ください。

■上:2022年冬ダイヤでの変化
 ・国際線が再開しはじめる
■下:2023年夏ダイヤでの変化
 ・国際線が急速に再開するも国内線は縮小

LCC就航路線図(2023年冬ダイヤ)

さっそく完成した地図を下に載せます。この地図では日本国籍の航空会社のみを載せており、同じブランドであっても、他国籍航空会社運航の路線は除外しています。例えば、オーストラリアのジェットスター航空や中国春秋航空運航の路線は、この地図には載っていません。

図:LCC運航路線図(2023年冬ダイヤ現在)
2023年10月22日更新

2023年夏ダイヤでの変化

では、LCC各社のダイヤの変化について、表にまとめました。尚、増減便については原則触れません。

会社種別内際路線運休・
再開日
備考
SPRING
JAPAN
運休
?
国際東京-成田南京2023/3/262023夏ダイヤより運航なし
※運休の発表もなし
SPRING
JAPAN
運休
?
国際東京-成田寧波2023/10/292023冬ダイヤ発表なく、一時運休の可能性あり(2023/9/7現在)
2023年9月29日ダイヤ発表・販売開始
Peach運休国内大阪-関西女満別2023/10/29女満別から撤退
Peach運休国内大阪-関西釧路2023/10/29釧路から撤退
Peach運休国内名古屋-中部石垣2023/10/29
Jetstar季節
運休
国内東京-成田下地島2023/10/292024年夏ダイヤより再開
SPRING
JAPAN
再開国際東京-成田上海-浦東2023/12/8上海発は12/9より再開
Jetstar就航国内東京-成田旭川2023/12/15
Jetstar再開国際東京-成田上海-浦東2023/12/18上海発は12/19より再開
AirJapan就航国際東京-成田バンコク2024/2/9AirJapanの運航初路線
AirJapan就航国際東京-成田ソウル-仁川2024/2/22
表:2023年冬ダイヤでの新規就航・運休路線
2023年11月18日更新

Peach

Peachでは、8月22日のANAプレスリリースにて、2023年冬ダイヤでの運航計画を発表しました。

ANAプレスリリース

国内線では3路線が運休します。
・大阪-関西~女満別線
・大阪-関西~釧路線
・名古屋-中部~石垣線
また大分線や奄美線などでの期間運航や減便など、全体的な国内線便数は夏ダイヤに引き続き減少します。北海道道東の2路線は、2023年夏ダイヤにおいて東京-成田からの路線が運休していました。これに続く運休で、北海道のLCC就航空港は札幌-新千歳空港のみとなりました。「国内の地方路線より国際線の再開」という流れが続いています。

国際線では新規再開の発表はありませんでした。ですが前述の状況からして、新たに運航再開ということも考えられます。

ジェットスター・ジャパン

ジェットスター・ジャパンでは、8月22日のプレスリリースにて、2023年冬ダイヤでの運航計画を発表しました。

Jetstar Japanプレスリリース

国内線では、2022年冬ダイヤに引き続き、東京-成田~下地島線の冬期季節運休が発表されました。2024年夏ダイヤでは再開される予定です。

国際線では新規就航や運休の発表はありませんでした。

(2023年9月19日追記)
ジェットスター・ジャパンでは、2023年12月15日より東京-成田~旭川線に新規就航することが発表されました。Peach中心に国内線縮小、国際線拡大の流れがあった中において驚きの発表でした。
また、ご存じの方も多いかと思いますが、旭川空港は冬場の就航率も高い空港として有名です。LCCは天候不良時の欠航判断が早いことが一般的です。冬場にLCCを使うことを躊躇う方も多いかもしれません。そんな中で、東京-成田~旭川線は冬も安心してLCCを利用できる貴重な路線として重宝しそうです。

Jetstar Japanプレスリリース(AKJ)

(2023年11月18日追記)
ジェットスター・ジャパンでは、2023年12月18日より東京-成田~上海-浦東線を再開することが発表されました。Peach、そして後述するSPRING JAPANに続き、LCC3社の上海便運航が全て再開されることとなりました。

Jetstar Japanプレスリリース(PVG)

SPRING JAPAN

SPRING JAPANでは、8月18日のプレスリリースにて、2023年冬ダイヤの哈爾浜、天津線販売開始が発表されました。尚、寧波線については発表がありません。2023年夏ダイヤでは、何の発表もなく寧波線と南京線が運航されないといった事例もあります。その後、寧波線に限っては6月25日に運航が再開されていますが、それまで3か月運航が中断される事態となりました。今回も準備が整い次第販売開始となると思われますが、再び運航中断となることもあるかもしれません。

SPRING JAPANプレスリリース(国際線・HRB/TSN)

(2023年9月8日追記)
国内線については9月7日、2023年冬ダイヤの発表がありました。特に夏ダイヤとの変化はありません。SPRING JAPANは他社と次期ダイヤの発表時期を合わせることに拘らないことが恒例のことでした。しかし、今回は比較的早くに発表の準備が整ったようです。今後は他社と同時期までに発表をすることを期待します。

SPRING JAPANプレスリリース(国内線他)

(2023年10月22日追記)
国内線については9月29日、寧波線における2023年冬ダイヤの発表がありました。これで、運休となった佐賀線を除き、夏ダイヤにて運航していた全ての路線が、冬ダイヤでも運航されることとなりました。

SPRING JAPANプレスリリース(NGB)

(2023年11月18日追記)
SPRING JAPANでは、2023年12月8日より東京-成田~上海-浦東線を再開することが発表されました。Peach、Jetstarに続き、SPRING JAPANでも深夜便運航が再開されることとなります。
また、福島第一原子力発電所の処理水放出問題により生じた日中関係の悪化が与える日中間の旅客流動への影響は限定的であることが、この就航から見て取れます。

SPRING JAPANプレスリリース(PVG)

ZIPAIR

ZIPAIRについては新規就航や運休の発表はありませんでした。

(2023年11月18日追記)
ZIPAIRでは、2024年3月上旬より東京-成田~バンクーバー線に新規就航することが報道されました。これが実現すればZIPAIR、そして日系LCCによる初のカナダ路線となります。
ZIPAIRからはプレスリリースは出ていません。正式な発表を楽しみに待ちたいと思います。

AirJapan

AirJapanでは、8月24日のプレスリリースにて、2024年2月9日より東京-成田~バンコク線の新規就航することを発表しました。この路線は、LCCブランドを新たに立ち上げるAirJapanにとっての初路線となり、ZIPAIRに続く国際線中長距離を運航するLCCとなります。

AirJapanプレスリリース(BKK)

(2023年11月18日追記)
AirJapanでは、2024年2月22日より東京-成田~ソウル-仁川線に新規就航することが発表されました。AirJapanによる2路線目となります。
AirJapanで就航する2路線は、どちらもZIPAIRが就航しています。ZIPAIRがすでに就航する路線への就航が続くと、LCC各社の路線網を総合したときに、広がりが出てきません。折角の新規ブランドですので、ZIPAIRが就航していないどこの空港へ路線網を広げていくのか、楽しみに待ちたいと思います。

AirJapanプレスリリース(ICN)

まとめ

2023年冬ダイヤにおいては、国内線では減便や運休、その分国際線は増便や再開という流れが2023年夏ダイヤに続き一層進むかと思われました。特に、Peachは中規模都市への路線ならびにリゾート路線への集約が続き、それらの路線も便数は減少傾向にあります。しかし、ジェットスターの旭川就航により、国際線重視のPeachと国内線重視のジェットスターという、会社ごとのカラーが異なってきたコロナ禍前の路線傾向に戻った印象です。

相変わらず不確実な状況にあるのが中国路線です。この不安定さの影響をSPRING JAPANは受け続けています。さらに福島第一原子力発電所の処理水放出問題により生じた日中関係の悪化が、路線の再開や新規就航にも影響することも危惧されていました。しかし上海線の再開もありましたので、残る南京・武漢・重慶線の再開に期待したいところです。

既存LCC4社の他に、2023年冬ダイヤではAirJapanが新規就航します。またトキエアの新規就航も控えていますが、別記事にて指摘した通り、そう簡単に就航できる状態にはないと考えるのが現実的です。少しでも早くに就航発表がなされることを期待します。

この先も、各社からの発表に合わせて、本記事もアップデートして参ります。お読みいただきありがとうございました。

更新履歴

2023年9月8日:SPRING JAPANの国内線販売開始について追記(リンク
2023年9月19日:ジェットスターの旭川就航について追記(リンク
2023年10月22日:SPRING JAPANの寧波線販売開始について追記(リンク
2023年11月18日:SPRING JAPANの上海線再開について追記(リンク
2023年11月18日:ジェットスターの上海線再開について追記(リンク
2023年11月18日:AirJapanのソウル線就航について追記(リンク
2023年11月18日:ZIPAIRのバンクーバー線就航報道について追記(リンク

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