2023年4月23日、衆参合わせて5選挙区の補欠選挙が執行されました。結果は皆さまご存じの通り自民党4勝・日本維新の会1勝となり、立憲民主党は惨敗となりました。
今回は5選挙区でのみの選挙でしたが、その内衆議院千葉5区は合計7名の候補が立候補し、野党が一本化されなかったこともあり、今現在の野党の自力が見えてくるのではないかと感じました。
そこで、今回の結果と昨年2022年の参議院選挙、また一昨年2021年の衆議院選挙における千葉5区の各党得票率を比較しました。すると、維新の意外な伸び悩みや国民民主党の善戦、立憲の伸び悩みが見えてきました。
あくまでも簡単にまとめたもの、かつこれは千葉5区の結果であり全国の傾向とは異なりますが、ひとつの見方としてご覧くださればと思います。
選挙区選挙での比較データ
選挙区選挙での比較をします。比較するのは
・2021(令和3)年10⽉31⽇ 衆議院小選挙区議員選挙 千葉県第5区
・2022(令和4)年7⽉10⽇ 参議院千葉県選挙区議員選挙
・2023(令和5)年4月23日 衆議院小選挙区議員補欠選挙 千葉県第5区
の3選挙です。
結果は以下の通りです。
政党名 | 21衆 千葉5区 候補者名 | 得票数 | 得票率 | ⇨ | 22参 千葉選挙区 候補者名 | 得票数 | 得票率 | ⇨ | 23衆補 千葉5区 候補者名 | 得票数 | 得票率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
自民 | 当 薗浦健太郎 | 111985.611 | 46.97% | 当 猪⼝邦⼦ 当 臼井正一 | 104851.350 (2名合計) | 46.59% (2名合計) | 英利 アルフィヤ | 50578.000 | 30.58% | ||
維新 | 椎木保 | 32241.000 | 13.52% | 佐野正⼈ | 25905.741 | 11.51% | 岸野智康 | 22952.000 | 13.88% | ||
国民 | 鴇田敦 | 24307.000 | 10.19% | 礒部裕和 | 18355.953 | 8.16% | 岡野純子 | 24842.000 | 15.02% | ||
立民 | 矢崎堅太郎 | 69887.387 | 29.31% | 当 小西洋之 | 37753.630 | 16.78% | 矢崎堅太郎 | 45635.399 | 27.59% | ||
共産 | 斉藤和子 | 17802.188 | 7.91% | 斉藤和子 | 12360.000 | 7.47% | |||||
NHK | 渡辺晋宏 中村典子 須⽥良 | 5361.424 (3名合計) | 2.38% | 織田三江 (政女) | 2463.000 | 1.49% | |||||
その他 | 5党計5名 | 14999.630 (5名合計) | 6.67% | 星健太郎 (無所属) | 6561.599 | 3.97% |
※参議院選挙の結果は衆議院議員選挙千葉5区のエリアの得票率推計
(市川市開票分は、千葉5区・千葉6区の投票者数で得票数を案分し票数を推計)
※NHK党は党名が毎回異なるが、この表では略称で表記
見えてくること
上の図表より、2022年参議院選挙では、2021年衆議院選挙千葉5区に擁立した4党はいずれも得票率を下げています。これは、2022年参議院選挙では多くの党が候補者を擁立し有権者の選択肢が増えたためです。
ここでは主に2021年衆議員選挙と2023年衆議院補欠選挙をメインに比較してみます。グラフを見てまず目に留まるのは自民党の得票率が大きく下がっていること(-16.39%)です。これは千葉5区選出の前議員、薗浦氏の不祥事による議員辞職、それに伴う補欠選挙であることから当たり前のことです。
では下がった分はどこへ流れたのかが気になります。まず次点であった立憲民主党ですが、立民単独では得票率が下がっています(-1.72%)。ここで政治的に近い立民と共産を合わせて考えると、29.31%(21衆)から35.07%(22衆補)と得票率は上がっています(+5.75%)。ですが、自民の減少率を考えれば、今回の不祥事で自民から離反した層の1/3しか立民は獲得できていないのです。ここから、立民は有権者から「自民に代わる受け皿」とは思われていないことが見えてきます。野党候補者の一本化をすればと言う立民幹部もいますが、さらに多くの自民離反層の支持を得れば勝てた選挙でした。ということで、それを言う前にやるべきは立民自体が信頼を得る政党になることということになります。
次いで伸びたのは国民民主党です。10.19%(21衆)から15.02%(22衆補)と得票率が1.5倍ほどに伸びています(+4.83%)。立民と同程度の伸び率であること、また維新を上回ったことも含めて、さらに政党規模を考えれば国民は大躍進したと言えますし、自民に代わる受け皿になり得ると考える有権者も多いのかもしれません。このまま実直に政策本位の党運営を続け、少しずつ自民から支持を奪えるようになっていけば、将来は明るいのかもしれません。
続いて注目するのは日本維新の会です。13.52%(21衆)から13.88%(22衆補)と前の選挙と比べ微増に留まっています。ここから、自民から離反した有権者が維新に流れなかったことが見えてきます。一方で、政党への支持は維持しているとも捉えられます。維新は全国的には地方議員が激増して勢いを感じますが、千葉5区の結果だけで見るならば、棚から牡丹餅で自民や立民が自滅した分を維新が得ただけとの考え方も出来ます。まだまだ自民から支持を奪うまでの力は得ていないのかもしれません。
最後に見るのは共産党です。7.91%(22参)から7.47%(23衆補)と得票率を減らしています。今回選挙では支持の被るれいわ新選組や社民党の候補が出ていないにも関わらずです。一方、共産は千葉県議会議員選挙市川市選挙区で議席を回復しています。これらから、共産の衰退傾向は特に国政に顕著になりつつあると考えられます。生活に身近な地方議会が、共産にとってより親和性があるのかもしれません。
まとめ
上のことをまとめると以下の通りになります。
自民⇨不祥事を起こせば維新を利することになる
維新⇨大阪以外ではまだ自民から自力で支持を奪うには至らず
国民⇨小さいながらも少しずつ支持を広げつつある
立民⇨自民に並ぶ政党とは有権者に思われなくなりつつある
共産⇨衰退傾向は国政で特に顕著
これらはあくまで千葉5区の結果のみを基にまとめたものです。ですが、世間のイメージとそう遠くないとも感じられます。これからも政治に関心を持ちつつ、情勢を見ていければと思います。
こちらもどうぞ
今回は2021年衆議院議員選挙から2023年衆議院議員補欠選挙の比較をしましたが、以前2021年衆議院議員選挙から2022年参議院議員選挙の比較もしております。ぜひご覧くださいませ。
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