Suicaはどこで使えるの?~2023年8月時点での利用可能範囲を地図にしてみた

地図
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2013年3月に始まったSuicaをはじめとした全国の交通系ICカードの相互利用。今年2023年は相互利用が始まってからちょうど10年の節目です。これを祝って鉄道各社では様々なイベントが企画されています(2023年3月6日:JR東日本他)。一方、昨年札幌に移住した私の個人的な感覚ですが、札幌市内は別としても、旭川や室蘭など近隣の都市に鉄路で向かう場合はSuicaが使えないなど、地方では未だにSuicaの利便性を享受できていないように思います。

そこで、今年4月時点でのSuicaなど交通系ICカード全国相互利用サービスで利用できる交通機関を地図に表してみました。また、地域ごとの状況についても簡単にまとめました。私の調べた限りのため漏れがあるかもしれませんが、よろしければご覧くださいませ。

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地図を作るにあたって

地図を作るにあたっては、以下の基準にて作成いたしました。
・記載する鉄道路線は交通系ICカードを利用できる路線のみ(予定含む)
 ⇨利用不可路線は地図の見やすさを優先して全てカット
・路面電車はバスと同様の扱いとし、原則路線網はカット
・バスの利用可能エリアは、一部路線を除き円で表現
 ⇨バスは面で地域を網羅するという見方より
・新幹線、高速バスはこの地図では除外
 ⇨あくまでも地域内での利用可否を表すため
・東名阪の拡大都市圏は省略
 ⇨ほぼ全ての路線で利用できるため

作成した地図はこちら

図:交通系ICカード相互利用エリア図(東日本版)
2023年8月26日現在
2023年8月26日更新
図:交通系ICカード相互利用エリア図(西日本版)
2023年8月28日現在
2023年8月26日更新

地域別利用可能エリアの状況

地域ごとの利用可能状況についてまとめていこうと思います。尚、地図に反映させているため、利用可能鉄道やバスは会社名中心に代表的な会社のみ記載し、詳細は省きます。

北海道

ICカード名他エリアでの
利用可否
10カード
利用可否
利用可能鉄道一例
※新幹線除く
利用可能バス一例
※高速バス除く
Kitaca・JR北海道(札幌エリア)
SAPICA×・札幌市営地下鉄
・札幌市電
・北海道中央バスの一部
・JRバス北海道(深名線除く)
・じょうてつバス
ICAS
nimoca
・函館市電・函館バス
表:北海道での利用可能カードと利用可能交通機関一覧(2023年4月1日現在)
※10カード⇨KitacaSuicaPASMOTOICAmanacaICOCAPiTaPaSUGOCAnimocaはやかけん

北海道では上の3カードがあり、札幌と函館を中心に利用が可能です。尚、Kitacaは2024年春に以下でエリア拡大を予定しています。
・岩見沢~旭川間
・函館~新函館北斗間
これにより、札幌から旭山動物園への観光や、北海道新幹線で新函館北斗まで向かう時の利便性が向上します。

一方、道北や道東では全く利用することができません。さらに外国人観光客の多いニセコも、一部高速バスを除き利用できません。旭川や北見では地元バス会社が早い時期に独自ICカードを導入しており、帯広や釧路ではwaonが導入されている路線もあります。

最後に、注意すべき利用不可会社や路線を触れておきます。
・北都交通
⇨新千歳空港連絡バスなど
・夕鉄バス
・ばんけいバス
⇨札幌圏ですが利用不可
・函館帝産バス
⇨函館空港シャトルバス

(2023年4月30日追記)
北海道の交通機関におけるキャッシュレス決済について新たに記事を書きましたので、こちらもぜひご覧ください!

東北

ICカード名他エリアでの
利用可否
10カード
利用可否
利用可能鉄道一例
※新幹線除く
利用可能バス一例
※高速バス除く
Suica・JR東日本(仙台エリア)
・仙台空港鉄道
・JRバス東北(青森)
・岩手県北バス(利府)
AOPASS ※S・青森市営バス
・JRバス東北の一部
MegoICa ※S・弘南バス
TOWADA
SkyBlue
Pass ※S
・十和田観光鉄道バス
ハチカ ※S・南部バス
・八戸市営バス
iGUCA ※S・岩手県北バス(利府除く)
・JRバス東北の一部
Iwate Green
Pass ※S
・岩手県交通の一部
odeca ※S・気仙沼線・大船渡線BRT
icsca
Suica仙台
エリアのみ可
・仙台市営地下鉄・仙台市営バス
・宮城交通
・ミヤコーバスの一部
Shuhoku
Orange
Pass
※S
・秋北バスの一部
AkiCA ※S・秋田中央交通
Cherica ※S・山交バス
・庄内交通
表:東北地方での利用可能カードと利用可能交通機関一覧(2023年5月27日現在)
※10カード⇨KitacaSuicaPASMOTOICAmanacaICOCAPiTaPaSUGOCAnimocaはやかけん
※S:Suica地域連携カードとして発行

東北では、JR東日本が開発したSuica地域連携カードの効果により、多くのエリアでバスの利用が可能です。特に青森県では下北交通を除く地域を代表するバス全てで利用可能なほどです。また、岩手県の南部は現状利用不可エリアですが、岩手県交通が徐々に対応路線を拡大しています。そのためバスの対応が先行し、鉄道の対応遅れが目立ってきています。

福島県では福島交通が独自カードを導入しており、相互利用には対応していません。親会社のみちのりHDでは、傘下の岩手県北バスなどで相互利用に対応しています。しかし、福島交通と会津バスでは独自カードの導入拡大を発表しており、今後の相互利用対応は期待できません(2023年8月25日:トラベルWatch)。

最後に、おおまかにまとめると、相互利用できないエリアは以下のイメージです。
・鉄道
⇨各都道府県県庁所在地のJR以外ほぼ全て
・バス
⇨以下エリア
青森県下北
岩手県南部
宮城県北部・南部
秋田県南部
福島県

関東

ICカード名他エリアでの
利用可否
10カード
利用可否
利用可能鉄道一例
※新幹線除く
利用可能バス一例
※高速バス除く
Suica・JR東日本(関東エリア)
・埼玉 ニューシャトル
・東京臨海高速鉄道
・東京モノレール
・JRバス関東の一部
totra ※S・ライトライン(栃木)
2023年8月26日開業
・関東自動車
・JRバス関東(栃木)
nolbé ※S・群馬中央バス
・日本中央バスの一部
・群馬バスの一部
PASMO・東武鉄道
・西武鉄道
・京成電鉄
・京王電鉄
・小田急電鉄
・東急電鉄
・京急電鉄
・相模鉄道
・左記電鉄系列バス
・国際興業バス
・イーグルバス
・東洋バス
・平和交通
・都営バス
・関東バス
・富士急バス
表:関東での利用可能カードと利用可能交通機関の一例(2023年8月26日現在)
※10カード⇨KitacaSuicaPASMOTOICAmanacaICOCAPiTaPaSUGOCAnimocaはやかけん
※S:Suica地域連携カードとして発行

関東では地図で省略している通り、大多数の鉄道やバスで相互利用が可能です。しかしながら注意すべきなのは、関東鉄道(バス除く)と千葉都市モノレールではSuicaPASMOはしか利用できません

また、関東の中でも相互利用が一部難しいエリアも一部あります。
・茨城県北部
・群馬県沼田の一部
・群馬県南東部
・埼玉県東部
・千葉県東部の一部
・千葉県外房・館山
・伊豆諸島
しかしながら一都三県を中心に、(コミュニティバスを除いて)利用できない交通機関を挙げる方が早いかもしれません。そこで利用不可交通機関の一例を表にまとめておきます。

都道府県利用不可鉄道一例利用不可バス一例
※コミュニティバス除く
茨城県・JR東日本の一部
・ひたちなか海浜鉄道
・鹿島臨海鉄道
・茨城交通
・大利根交通
・桜東バス
栃木県・JR東日本の一部
・野岩鉄道
・真岡鉄道
群馬県・JR東日本の一部
・上信電鉄
・上毛電鉄
・わたらせ渓谷鉄道
・つつじ観光バス
埼玉県・深谷観光バス
・花園観光バス
・平成観光
・ライフバス
・大和観光バス
・けんちゃんバス
・タローズバス
・グローバル交通
・メート―観光
・埼玉観光
・マイスカイ交通
千葉県・JR久留里線
・流鉄
・山万ユーカリが丘線
・芝山鉄道
・銚子電鉄
・小湊鉄道
・いすみ鉄道
・生活バスちばにう
・千葉交通の一部
・ちばこうバスの一部
・九十九里鉄道バス
・小湊バスの一部
・日東交通の一部
・東京ベイサービス
東京都・京成タウンバスの一部
・お台場レインボーバス
・銀河鉄道バス
神奈川県・大新東
表:関東でのICカード利用不可交通機関の一例(2023年4月1日現在)

北陸・甲信越

ICカード名他エリアでの
利用可否
10カード
利用可否
利用可能鉄道一例
※新幹線除く
利用可能バス一例
※高速バス除く
Suica・JR東日本(新潟エリア)
・JR東日本(山梨~松本)
・富士急行
PASMO・西武観光バス
・山梨交通
・富士急バス
・西東京バス
りゅーと×・新潟交通
・新潟交通観光バスの一部
ICOCA・JR西日本
・あいの風とやま鉄道
・富山地方鉄道市内線
・IRいしかわ鉄道
manaca・城下まち金沢周遊バス
PiTaPa
要事前チャージ
・西日本JRバス
(金沢・小浜)
表:北陸・甲信越地方での利用可能カードと利用可能交通機関の一例(2023年4月1日現在)
※10カード⇨KitacaSuicaPASMOTOICAmanacaICOCAPiTaPaSUGOCAnimocaはやかけん

この地域は、現在特にバスにおいて最も相互利用が難しい地域のひとつです。主要都市で概ね相互利用に対応しているのは新潟市、甲府市のみです。富山市や福井市、松本市ではバスが非対応、金沢市では北陸鉄道の電車線とバスが非対応、長野市に至っては完全非対応です。そんな状況ではありますが、福井県では2024年にバス、2025年に私鉄線のICカード導入が発表されました(2023年2月8日:福井新聞)。また2025年春予定で長野市の独自ICカード「KURURU」のSuica地域連携カードへの移行も発表されました(2022年9月27日:KURURU HP)。

鉄道についても、JR東日本の松本以北でのSuica導入予定が発表され、利便性は着実に向上しそうです(2023年6月20日:JR東日本)。

東海

ICカード名他エリアでの
利用可否
10カード
利用可否
利用可能鉄道一例
※新幹線除く
利用可能バス一例
※高速バス除く
Suica・JR東日本(伊東線)
・伊豆急行
PASMO・東海バス
・伊豆箱根バス
・富士急バス
・山梨交通
LuLuCa ※P×・静岡鉄道・しずてつジャストライン
TOICA・JR東海の多く
・愛知環状鉄道
manaca・名古屋鉄道の多く
・豊橋鉄道
・名古屋市営地下鉄
・Linimo
・ゆとりーとライン
・あおなみ線
・名鉄バス
・名古屋市営バス
・知多バスの一部
ICOCA・JR西日本(関西線)
PiTaPa
要事前チャージ
・近畿日本鉄道・名阪近鉄バス
emica ※P×・三重交通
表:東海地方での利用可能カードと利用可能交通機関の一例(2023年4月1日現在)
※10カード⇨KitacaSuicaPASMOTOICAmanacaICOCAPiTaPaSUGOCAnimocaはやかけん
※P:PiTaPaハウスICカードとしてPiTaPaエリアとしても扱う

東海地方では、バスにおいて相互利用可能な地域と不可の地域がはっきりしています。まず、相互利用可能な地域としては、静岡県東部、愛知県名古屋周辺があります。尚これら地域内で注意すべきなのは、名古屋鉄道の以下区間では一部パターンを除きICカードに未対応であることです。
・広見線可児~御嵩間
・蒲郡線
また、ICカードに対応していない鉄道が一部残っています。
・伊豆箱根鉄道駿豆線
・岳南鉄道
・東海交通事業城北線

一方、バスの相互利用不可の地域としては、静岡県西部、愛知県東部、岐阜県南部があります。静岡県西部では遠州鉄道が独自ICカードを導入していますが、相互利用はできません。岐阜県南部については2024年に岐阜バスがmanacaを導入するため、今後は便利になりそうです(2022年12月10日:岐阜新聞)。

最もICカード利用に不便な地域、岐阜県北部はJR線も含めたICカード利用不可地域です。尚、JR東海は全線でTOICAを導入する方針を発表しており(2022年11月1日:TRAICY)、いつになるかはわかりませんが、鉄道での利用は可能となりそうです。

近畿

ICカード名他エリアでの
利用可否
10カード
利用可否
利用可能鉄道一例
※新幹線除く
利用可能バス一例
※高速バス除く
ICOCA・JR西日本の多く
・四日市あすなろう鉄道
・近江鉄道バス
・湖国バス
・大阪バスの一部
PiTaPa
要事前チャージ
・近畿日本鉄道
・京阪電鉄
・阪急電鉄
・阪神電鉄
・南海電鉄
・左記電鉄系列バス
・西日本JRバス
・京都市営バス
・大阪シティバス
・神戸市営バス
らんでん
カード ※P
×・京福電鉄
Tsukica ※P×・高槻市営バス
hanica ※P×・阪急バス
・阪神バス
なっち ※P×・南海バス
Itappy ※P×・伊丹市営バス
NicoPa ※P×・神姫バス
CI-CA ※P×・奈良交通
kinoca ※P×・和歌山バス
表:近畿での利用可能カードと利用可能交通機関の一例(2023年4月1日現在)
※10カード⇨KitacaSuicaPASMOTOICAmanacaICOCAPiTaPaSUGOCAnimocaはやかけん
※P:PiTaPaハウスICカードとしてPiTaPaエリアとしても扱う

近畿は、関東同様にICカード利用がしやすい地域です。その中においても北近畿エリアではJR線は一部駅のみ対応、バスの多くもICカードが導入されていません。また、和歌山県南部はバスにて利用できず、三重県の南部ではJR東海の路線で利用できません。とはいえ、やはり利用できない交通機関を挙げる方が早いので、いくらかを表にまとめておきます。

都道府県利用不可鉄道一例利用不可バス一例
※コミュニティバス除く
三重県・JR東海の多く
・三岐鉄道
・伊勢鉄道
(以下2024年導入予定)
・伊賀鉄道
・三岐鉄道バス
滋賀県・近江鉄道
・信楽高原鉄道
・滋賀バス
・帝産湖南交通
京都府・JR西日本の一部
・京都丹後鉄道
・丹後海陸交通
・京都交通
・プリンセスライン
・KLOOK
・ヤサカバス
大阪府・北港観光バス
・金剛自動車
・岸和田観光バス
兵庫県・北条鉄道
・智頭急行
・みなと観光バス
・サブローバス
・六甲山観光バス
・全但バス
・淡路交通
奈良県・吉野大峯ケーブルバス
和歌山県・和歌山電鐵
・紀州鉄道
・オレンジバス
・有田鉄道バス
・中紀バス
・龍神バス
・明光バス
・熊野御坊南海バス
表:関東でのICカード利用不可交通機関の一例(2023年4月1日現在)

中国・四国

ICカード名他エリアでの
利用可否
10カード
利用可否
利用可能鉄道一例
※新幹線除く
利用可能バス一例
※高速バス除く
ICOCA・JR西日本の多く
・JR四国の一部
・中国JRバス(山口)
・松江市営バス
・一畑バス
・石見交通
・おのみちバス
・本四バス
・防長交通
・宇部市営バス
Hareca ※P×・岡山電気軌道・両備バス
・岡電バス
・下津井バス
・中鉄バスの一部
PASPY×・広島電鉄
・アストラムライン
・広電バス
・広島交通
・中国JRバス(広島)
・芸陽バス
・鞆鉄道バス
・中国バス
・備北交通
・井笠バス
・いわくにバス
Iruca×・高松琴平電鉄・ことでんバス
・小豆島オリーブバス
nimoca・サンデン交通
表:中国・四国地方での利用可能カードと利用可能交通機関の一例(2023年4月1日現在)
※10カード⇨KitacaSuicaPASMOTOICAmanacaICOCAPiTaPaSUGOCAnimocaはやかけん
※P:PiTaPaハウスICカードとしてPiTaPaエリアとしても扱う

中国地方では、相互利用可能な地域と不可の地域がはっきりしています。まず鉄道でICカードの利用できるエリアは、JR西日本の山陽地域、松江周辺、高松周辺、私鉄では岡山電気軌道、広島県内、高松琴平電鉄に限られます。次いで、バスでのICカード利用可能交通機関の多い地域としては島根県、岡山県南部、広島県、山口県、香川県が挙げられます。

一方、ほとんどICカードの利用ができない地域としては、鳥取県、徳島県、愛媛県、高知県があります。このうち愛媛県、高知県では独自ICカードが運用されています。また、この地域では注意すべき会社が少々ありますので触れておきます。
・宇野バス
・中鉄バスの一部
Harecaを導入しているものの、相互利用は非対応
・大川バス
・高松市コミュニティバス
Irucaを導入しているものの、相互利用は非対応
・松江一畑交通
・出雲一畑交通
⇨米子、出雲両空港連絡バスはICカード未導入

九州

ICカード名他エリアでの
利用可否
10カード
利用可否
利用可能鉄道一例
※新幹線除く
利用可能バス一例
※高速バス除く
SUGOCA・JR九州の多く
・北九州モノレール
・BRTひこぼしライン
 2023年8月28日開業
 ※実証試験
nimoca・西日本鉄道
・筑豊電鉄
・熊本電気鉄道
・西鉄バス
・JR九州バスの一部
・昭和バス
・大分交通
・宮崎交通
はやかけん・福岡市営地下鉄
nagasaki
imoca
・松浦鉄道
・長崎電気軌道
・長崎県営バス
・西肥バス
エヌタス
Tカード
×・長崎バス
・さいかい交通
くまもんの
ICカード
×・熊本電鉄・産交バス
・熊本バス
・熊本都市バス
・熊本電鉄バス
OKICA×・ゆいレール
表:九州での利用可能カードと利用可能交通機関の一例(2023年4月1日現在)
※10カード⇨KitacaSuicaPASMOTOICAmanacaICOCAPiTaPaSUGOCAnimocaはやかけん

九州はバスにおいて比較的ICカードの利用がしやすい地域です。福岡、佐賀、長崎、熊本、宮崎では(島嶼を除き)ほぼ全ての路線バスでの利用が可能です。鉄道については、松浦鉄道や熊本電鉄などのICカードの利用が可能な会社もあり、私鉄についても他地方よりはICカードが普及しています。JR九州では福岡近郊ならびに各都道府県県庁所在地周辺のみ利用可能な状況です。

一方、大分県のバスは大分市周辺と日田市のみでICカードが導入されており、他地方よりは進んでいるものの、九州内では後れを取っています。また鹿児島県では独自ICカードが導入されており、相互利用の検討は報じられていません。さらに沖縄県ではモノレールとバスにOKICAが導入されていますが、バスでは相互利用できず、今後の対応も資金面で難しいようです(2015年5月2日:沖縄タイムス)。

まとめ~QRやVISAタッチに勝れるか?

JR東日本のSuica地域連携カードやICOCAの地方バスへの普及などによって、この数年でICカードを相互利用できる範囲は格段に広がってきました。また、JR東日本ではSuicaの改札機での運賃計算にクラウドを導入することを発表しており(2021年4月6日:JR東日本)、北東北でのSuica拡大を皮切りに、長野などの未導入地域への拡大も期待したいところです。

しかし同時に、VISAタッチなどのクレジット非接触決済、そしてPayPayなどのQR決済などを導入する交通機関も増加してきました。そういった状況下であっても今後もICカードが利用できる範囲が広がるかといえば、若干の不安要素もあります。PASPYエリアは3年後の2025年3月に利用を終了することを発表しています(2022年3月9日:朝日新聞)。広島は全国でも最もICカードを利用しやすい地域のひとつであるものの、広島電鉄は新決済システム開発を開始しており、その仕様によっては一気に利便性が落ちる可能性があります。

利用客(特に都市部在住者)としては、普段の生活で使用するICカードが全国どこでも利用できること、それはこの上なく便利なことです。しかしながら地方の交通機関にしてみれば、導入や維持コストは無視することはできません。前述のクラウド化などによりコストが低減し、地方交通機関にとっても導入しやすいシステムが構築されていくことを願います。

お読みいただきありがとうございました!

更新履歴

2023年3月20日:誤字修正
2023年3月20日:地図に北海道松前町「大漁くんバス」を追加
2023年4月4日:地図に関越交通沼田地区一部路線、取手市コミュニティバスのIC対応を追加
2023年4月30日:リンク追加
2023年8月26日:地図に以下を追加
        ・Fビレッジ連絡バス
        ・JR東日本長野地区(松本~長野・穂高)
        ・伊賀鉄道
        ・BRTひこぼしライン

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