Suicaはどこで使える?~2024年ダイヤ改正時点での利用可能範囲~

地図
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2024年3月16日のJRダイヤ改正。目玉は何といっても北陸新幹線の敦賀延伸です。一方で、今私の住む北海道ではKitacaエリアの拡大など、ICカードの利便性向上が図られたダイヤ改正でもあります。

そこで、今年3月16日ダイヤ改正時点でのSuicaなど交通系ICカード全国相互利用サービスで利用できる交通機関を地図に表してみました。私の調べた限りのため漏れがあるかもしれませんが、よろしければご覧くださいませ。

参考:2023年8月時点の地図も作っていましたので、ぜひご覧ください!↓

地図を作るにあたって

地図を作るにあたっては、以下の基準にて作成しました。
・記載する鉄道路線は交通系ICカードを利用できる路線のみ(予定含む)
・路面電車はバスと同様の扱いとし、原則路線網はカット
・バスの利用可能エリアは、一部路線を除き円で表現
 ⇨バスは面で地域を網羅するという考え方より
・新幹線、高速バスはこの地図では省略
・東名阪都市圏ではほぼ全ての路線でIC利用が可能なため省略

作成した地図はこちら

図:交通系ICカード相互利用エリア図(東日本版)
2024年3月16日現在
図:交通系ICカード相互利用エリア図(西日本版)
2024年3月16日現在

2024年の動き

JR北海道でKitacaエリア拡大!

JR北海道では長らくKitacaエリアは札幌近郊に限定されていました。ですが、2024年3月16日のダイヤ改正でKitacaエリアが拡大されました(リンク)!

・函館本線:函館~新函館北斗(函館エリアとして)
・函館本線:岩見沢~旭川(札幌エリアとして)

函館地区での導入では、新幹線で函館へ向かう方のICカードでの移動が格段に便利になります。また、旭川駅までのエリア拡大では、札幌⇔旭川相互でのビジネスや旭山動物園への観光客などの利便性が高まります。

山形市周辺でSuicaエリア拡大!

2024年3月16日のダイヤ改正で山形駅周辺のSuicaエリアが拡大されました(リンク)!

・奥羽本線:かみのやま温泉~山形~村山
・左沢線:山形~寒河江

運賃計算などをセンターサーバーにて行う方式によるSuicaエリア拡大は、北東北3県に続いて2例目となります。センターサーバー方式の実績が増えることにより、来年の長野地区に続き、地方でのSuicaエリアがさらに拡大していくことが期待されます。

地域連携ICカードによるバス利用可能エリア拡大!

2021年のtotra(栃木県)に始まったSuica地域連携カードは瞬く間に東日本で普及し、2024年もエリア拡大や新規導入が続いています!

・岩手県交通:2024年2月までに花巻・北上地区へIwate Green Pass利用エリア拡大完了リンク
・新常磐交通・JRバス関東(白河):2024年春にLOCOCA新規導入リンク1リンク2

岩手県交通では営業所毎に順次Iwate Green Passの導入を進めています。今後も奥州、一関、遠野、花巻、大船渡の各地域へも順次導入されることが期待されます。またSuica普及が遅れていた福島県において、LOCOCA新規導入初めてバスへSuicaエリアが拡大することとなります。来年の長野地区でのKURURUに続く地域連携ICカードによるSuicaエリアの拡大も期待したいところです。

ICOCAエリア拡大と、続く各地での新規導入!

ここ数年でエリア拡大が顕著に続いているのがICOCAです。JR西日本路線での導入は勿論のこと、各地のバス事業者が導入する事案も続いています!

・防長交通:2月23日に一般路線バス全線へ導入完了リンク
・伊賀鉄道:3月9日よりICOCA導入リンク
・伊予鉄:3月13日より市内電車と空港リムジンバスにICOCA導入リンク
・津山線:夏ごろに津山駅でICOCA利用開始(法界院~津山の途中駅では利用不可、リンク
・京福バス(福井、リンク)・福鉄バス(福井、リンク)、中京交通(京都、リンク):新規導入

福井と松山を筆頭に2025年のエリア拡大が発表されている区間も既にあり、今後もICOCAエリアは急拡大を続けそうです。

中京圏でのエリア拡大が動きはじめる!

名古屋を中心とした中京圏では、ここ数年は数社のバスでICカードが導入された以外は、エリア拡大の動きは停滞していました。ですが2024年はエリアが再び拡大する弾みとなる年となりそうです! 

・名鉄東部交通:2月3日よりmanacaを新規導入リンク
・岐阜バス:3月12日より独自ICカードからmanacaへ切替リンク

2025年はJR線でのTOICAエリア拡大、バスでの新規導入などもあり、中京圏でのICカード利用はさらに便利になりそうです。

PASPY利用終了により広島のICカード利用エリアは縮小へ

2025年3月29日を以て、非常に多くの広島県内事業者が導入していたPASPYの利用が終了となります。しかし、PASPYの後継となるシステムについては各社が違う動きを見せています。

■MOBIRY DAYSの新規導入
広島電鉄グループは、QRコードを活用した新しい決済システム「MOBIRY DAYS」の導入を発表。9月に運用が開始されます。尚、PASPYは2025年3月29日まで利用でき、SuicaやICOCAなどのICカードはPASPY終了後も利用できます(リンク)。
MOBIRY DAYSを導入するのは広島電鉄の路面電車と広電バス、芸陽バス、エイチ・ディー西広島の全線、備北交通です。尚、備北交通の一般路線バスは高田南部線以外SuicaやICOCAなどの交通系ICカード全国相互利用の対象外となります(リンク)。広島県北部でのICカードのエリア縮小が確実な状況となりました。

■ICOCAの新規導入
広島高速交通(アストラムライン)は6月1日よりICOCAを導入し、PASPYは他社より早く11月30日を以て利用終了となります(リンク)。さらに、フォーブルは12月1日よりICOCAを導入します(リンク)。尚、広島バス、広島交通、中国ジェイアールバスは公式発表はないもののICOCAを導入する方針です(リンク)。

他の各社は4月1日現在未定です。

2025年以降の動き

2025年以降も既に多くの発表がなされています。特に広島ではPASPYの利用が終了となることも含め、2024年よりも大規模なICカード利用エリアの拡大縮小が起きるでしょう。それらを簡潔にまとめます。

■発表済みのもの
・2024年度:SUGOCAエリア拡大(佐賀~ハウステンボス・佐世保、リンク
・2025年3月:KURURU導入(地域連携ICカード、長野市周辺、リンク1リンク2
・2025年3月:manaca導入(豊鉄バス、リンク
・2025年3月:ICOCA導入(伊予鉄郊外線、伊予鉄バス、リンク
・2025年3月29日:この日を以てPASPYの利用終了(リンク
・2025年春:Suicaエリア拡大(松本~長野・穂高、リンク
・2025年春:TOICAエリア拡大(豊川~本長篠、大垣~美濃赤坂、リンク
・2025年春:ICOCAエリア拡大(伯耆大山~鳥取、リンク
・2025年秋:TOICAエリア拡大(甲府~鰍沢口、リンク
・時期未定:JR東海が全線へTOICA導入

■報道のあるもの
・2025年3月末:PASPY→ICOCAへ切替
(広島交通、広島バス、中国JRバス、2024年2月7日:中国放送
・2025年3月:福井でICOCA導入(福井鉄道、えちぜん鉄道、リンク
・2025年秋:近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会にてICOCA導入案が可決
(近江鉄道、2024年3月28日:日本経済新聞
・2025年度:長崎県が財政支援によるICカード導入方針の表明
(JR九州 大村線、2023年9月29日:長崎新聞
・2026年春:松本市が地域連携ICカード導入方針の表明
(市内路線バス、2024年2月19日:信濃毎日新聞

まとめ

PASPYの切替においては、システム維持コストなどの影響でしょうか、Suicaなどの交通系ICカード全国相互利用から離脱する路線が出るなど、相互利用エリアの拡大に影を差す事象もあります。また、PayPayをはじめとしたQR決済は、その導入コストの安価さから地方での導入事例も多くなりました。さらにはVISAタッチをはじめとしたクレジットのタッチ決済は都市部の事業者から地方の事業者まで、パラパラと導入が進んでいます。しかしながらICOCAやSuicaの地域連携ICカードを筆頭に、確実に地方へのICカード導入は進んでいます。

しかし東名阪の朝ラッシュを捌く、そして相互直通運転などの複雑な運賃計算をこなすことが出来るシステムとして、QRコードやクレジットのタッチ決済はSuicaなどの代替とは考えにくい状況であることも事実です。そうした状況であるからこそ、導入や維持コストの問題が解決することを強く願います。そして、都市部で替えの効かない確固たるシステムであるSuicaやICOCAなどのICカードが今後も着実に地方で使えるようになることで、「Suica(や他のカード)を持てばどこでも行ける!」という未来が来ることを期待しています。

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