フィールエア~2022年10月現在計画まとめ~

航空
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本ブログでは、プロペラ機LCC計画を進める3社の路線計画を記事にまとめました。ここで触れた3社は、トキエア、ジェイ・キャス、そしてフィールエアです。

このうちフィールエアは”フィールエアホールディングス株式会社”という商号により、2022年7月に設立されたばかりの就航準備会社です。ですが、現在に至るまでの2か月で多くの報道があり、上の記事で書いた内容からさらに情報が増えています。

そこで、報道各社の記事より、2022年9月末時点での計画概要を簡潔にまとめます。すると、壮大すぎて実現するの?と思いたくなる計画が見えてきました。上の記事と重複する部分もあることをご容赦ください。

フランチャイズ展開と就航時期

現在プロペラ機LCC計画を進める3社の中で、フィールエアの最大の特徴は「フランチャイズ展開」です(2022年7月19日:Aviation Wire)。「フランチャイズ展開」とは、コンビニエンスストアを例にすれば、
●フランチャイザー:セブンイレブン
●フランチャイジー:個人or法人の店舗運営者
というイメージです。ですがフィールエアホームページに記載されている事業内容からすると、実態としては「フランチャイズ」の側面に加え、「持株会社」の側面を合わせたものになるようです。つまり、以下のような関係です。

図:フィールエア各社間関係(筆者作成)

 ●フランチャイザー
  :フィールエアホールディングス
         (2022年7月設立)
  ⇨航空会社立ち上げ支援
  ⇨機材調達および納入支援
  ⇨航空機部品供給サービスおよび整備支援
  ⇨パイロット派遣および訓練支援
  ⇨ブランディング及びチケット販売支援
   (以上フランチャイジーの側面)
  ⇨フランチャイジー各社への投資
   (持株会社の側面)
 ●フランチャイジー
  :フィールエアEASTWEST
  ⇨実際の運航を担当

実際に運航を担うフランチャイジーは5社を計画しています。各社の設立時期と拠点空港は以下の通りです。

会社名就航時期拠点空港出典
フィールエアEAST2024年
東京-成田(拠点空港)
花巻・小松(焦点空港)
2022年7月29日:日本経済新聞
フィールエアWEST2026年春
※1
大阪-神戸
または大阪-関西
2022年9月19日:
TRAVEL JOURNAL ONLINE
フィールエアCENTRAL2027年春中部国際同上
フィールエアNORTH2028年春札幌-丘珠同上
フィールエアSOUTH2028年春北九州同上
表:フィールエア各社の就航時期・拠点
※1:2025年への前倒しを構想との報道あり
     (2022年9月6日:山陰中央新報

使用機材

使用機材はATR72-600型機、ATR42-600型機、ATR42-600S型機のいずれかで、2022年7月に最大36機導入の取引意向書(LoI)をATR社と締結しています(2022年7月19日:Aviation Wire)。また、国際線の構想も報道されており、国際線機材はエアバスA220が想定されています(2022年9月6日:朝日新聞)。

就航路線

フィールエアは、フランチャイジーとして運航を担う5社により、日本全国を網羅する路線網を計画しています。具体的に報道されている路線は以下の通りです。

会社路線就航時期出典
EAST東京-成田花巻2024年4月2022年7月20日:NHK NEWS WEB
2022年7月20日:共同通信社
EAST東京-成田小松2024年4月同上
EAST東京-成田秋田2024年春~2022年7月20日:NHK NEWS WEB
2022年8月6日:Sky Budget
EAST東京-成田庄内2024年春~同上
EAST東京-成田富山2024年春~同上
EAST東京-成田松本2024年春~同上
EAST東京-成田名古屋-中部2024年春~同上
EAST東京-成田南紀白浜2024年春~同上
EAST東京-成田徳島2024年春~同上
EAST花巻札幌-丘珠2024年春~同上
EAST花巻庄内2024年春~同上
EAST小松仙台2024年春~同上
EAST小松広島2024年春~同上
EAST
・WEST
東京-成田神戸or関西2024年春~
※2
同上
EAST
・WEST
東京-成田但馬2024年春~
※2
同上
EAST
・WEST
東京-成田鳥取2024年春~
※2
同上
EAST
・WEST
東京-成田米子2024年春~
※2
同上
EAST小松神戸or関西2024年春~
※2
同上
WEST神戸or関西富山2026年春~同上
WEST神戸or関西但馬2026年春~同上
WEST神戸or関西鳥取2026年春~同上
WEST神戸or関西米子2026年春~同上
WEST神戸or関西松山2026年春~同上
WEST神戸or関西熊本2026年春~同上
WEST神戸or関西大分2026年春~同上
WEST神戸or関西宮崎2026年春~同上
WEST鳥取広島2026年春~同上
WEST鳥取北九州2026年春~同上
WEST米子北九州2026年春~同上
CENTRAL中部国際不明2027年春~2022年9月19日:TRAVEL JOURNAL ONLINE
NORTH札幌-丘珠不明2028年春~同上
WEST北九州不明2028年春~同上
不明鳥取or米子ソウル未定2022年9月6日:朝日新聞
不明鳥取or米子台北未定同上
不明鳥取or米子上海未定同上
不明鳥取or米子香港未定同上
表:フィールエアの想定就航路線
※印:NHK映像ではWEST路線、
   音声ではEAST成田就航12路線に含む可能性
             (合計13路線となる)
図:プロペラ機LCC就航路線予定図
※他プロペラ機LCC路線を含む
※国際線は載せていません

まとめ

フィールエアについて、簡単ですが触れました。ここで私見を含みますが、フィールエアの現状と今後について考えたいと思います。

現在はまだ会社設立初期の段階であり、どのように資金確保するかなどの報道は多くありません。会長である児嶋太一氏が社長を務める鳥取ガスが出資していないこともあり、まだ大口の出資はないと思われます。また、報道される路線計画が、次々と、さらに大風呂敷状態で膨らんでいます。これは、関心(と今後の出資)を集めるためのアピールかと思います。が、あまりに大きな計画は、逆に実現性を損ねることになりはしませんでしょうか?

筆者が一番気になっていること、それは設立関係者に航空関係者が報じられていないことです。前の記事でも触れましたが、国土交通省のAOCや路線就航認可には厳しい審査があります。これらに対応するには、過去に審査に対応した経験は必須です。人材という意味では、パイロットの確保にも不安があります。ただでさえパイロット不足が指摘され、今後引退するパイロットが増えるタイミングで、これだけの路線網を維持するだけのパイロットを確保することは出来るのでしょうか。資金確保についても、ある程度運航開始できる見通しが出てこない限り、出資者は増えないのではないでしょうか。
全体として情勢が見えない状況ですが、ただの大風呂敷で終わらないことを祈ります。

お読みいただきありがとうございました。

こちらもどうぞ

トキエアの計画についても書いていますので、ぜひご覧ください!

更新履歴

2023年5月2日:目次を付加しました

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